画家 金子葵
2003年静岡県出身。
2021 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻入学
2025 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
東京藝術大学美術研究科技法材料研究室在籍中
2022「BLISSFUL ABODE(haco)」, Tokyo
2022 「point de depart(文房堂ギャラリー)」Tokyo
2022 「3331アートフェア2022(3331 Arts Chiyoda)」Tokyo
2023『個展Circus』(穏田珈琲ALPHA ET OMEGA)』Tokyo
2023 「個展 魔法クラブ(ボヘミアンズギルド)」Tokyo
2024 「ART FAIR TOKYO(東京国際フォーラム)」Tokyo
2024『個展 トリップBEST(Gallery Blue3143 ALPHA ET OMEGA )』Tokyo
2025
2025 「個展 魔法クラブ2 (下北沢アーツ)」Tokyo 「着想と実行 LURF GALLERY ALPHA ET OMEGA』
私の作品は、絵画でありながら、短編のエッセイや物語のようでもあります。
モチーフやコンセプトは、実際に見た風景や体験した出来事、そこで感じた揺れ動く感情から生まれます。
このような絵を描くきっかけとなったのは、バブル期に栄えた観光地のある町に小さい頃住んでいたことです。
そこには、今では人影もまばらになったホテルや、当時の名残をとどめる装飾が施された廃墟が放置されており、栄華の痕跡とその後の静けさが入り混じるような空気に、子どもながらに強く印象づけられました。
また、何気なく立ち寄った場所で、空気が妙に静かすぎたり、説明のつかないざわめきを感じたりすることがあります。そこに何があるというわけではないのに、なぜか足を止めてしまうようなそうした空間の気配も作品の重要なモチーフになっています。
廃墟や古びた風合い、伝統的な模様、バブル期の建築など、時代を越えて残る過去の美意識から多くの影響を受けています。
技法においては、作品に応じて石膏地やエンカウスティークなど、複数の素材を使い分けています。特にエンカウスティークには、素材としての質感に加え、その技法が使われていたポンペイという都市の歴史にも共鳴する部分があります。突然終わりを迎えた文明の痕跡には、バブル期の栄華が急激に失われた建築の空気と重なるものがあり、個人的に強いシンパシーを感じています。
日常の中でふと立ち止まってしまうような場面や感覚を、絵画というかたちですくい取ることを目指しています。(金子葵)